ライフタイムバリュー(LTV)を考える

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)という言葉が日本で聞かれるようになってから久しいが、住宅業界の中で、その本質的な意味を理解し、実践している会社はまだ少数であると考えられる。
20世紀型の「購買、消費」そのものが最終地点となる時代は終わり、購買や消費を始点として、その顧客とのLTVを考え長期的な付き合いの中で期待できる取引価値を踏まえ、ビジネス構造を組み立てるという課題を解決できない企業が多くなっている。住宅会社に当てはめると、本来であれば、探客→追客→契約→アフターフォローという図式中におけるアフターフォローであるべきであろうが、住宅会社は、このアフターフォローコストを必要悪とみなしているため、形式的なツール提供や訪問に留まっている場合が多い。
しかしながら、様々な事例を見ていると、多くの会社に存在するトップ営業マンは、ほとんどの受注を既存顧客からの紹介から発生させているという事実が見られる。これは、営業プロセスで言うと、顧客ファインディングを既存顧客に行なってもらっているということになり、コストのかかる一般的手法からの顧客ファインディングに比して、極めて合理的な手法を駆使しているのである。
この、紹介という手法はあくまで「結果」であり、一人の顧客の生涯価値という視点で見た際には、新築でローンを組み、数十年で返済していくのだから、その顧客から「次回発注」の期待は薄い・・・と考えるのは誤りである。
前述の既存顧客からの紹介により受注しているという事実は何を意味しているかというと、住宅という業界は、目の前にある商品やサービスを売っているわけではなく、未来の不確定な成果物を先に買っており非常に不安が残るということである。その意思決定の際、最も信頼性が高いのは、実際に買った人からの言葉であり経験であることは疑いようがない。
それを、多くの売上を上げている営業マンは理解し、自身の顧客との長期的付き合いを前提とした様々な工夫をしているからこそ、確度の高い顧客紹介に発展しているのである。
逆に、既存客からの評判が悪い会社というのは、結果的に新規客数や受注数にも影響を及ぼすのであるが、その因果関係を正しく認識できていないのが、現在の住宅業界なのである。

OB客からのクロスセリング(ガーデンやリフォーム)、口コミ(友人紹介、知人紹介)をどう考えるのかは各企業の方針によるところではあるが、その不確定さ(と見られがち)ゆえに、その大きなパワーに未だ気づいていない会社が多い今こそ、CRMを会社の理念として捉えることが必要ではないかと考える次第である。

※LTVとは・・・
ライフタイムバリュー(LTV)とは、顧客から永続的に取引を続けてもらうことによって得られる利益・価値のこと。また、個々の取引から得られる利益の 最大化を目指すのではなく、顧客のロイヤルティを高めることで得られるライフタイムバリューを高めていくことに価値があるとする考え方

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